ATS警報鳴動装置の製作

2024/1/1 7M4MON

 

概要

列車の運転席の後ろにいると聞こえてくる ジリリリリ、キンコン キンコン… という音、ありますよね。
これは、ATS(Automatic Train Stop:自動列車停止)という、列車が冒進しないように、運転士が所定の確認扱いをしないと自動的にブレーキがかかって列車を停止させる装置の警報音です。
列車がATS地上子を通過すると、車上子がそれを検知して、ベルとともにチャイム音を鳴動させます。
運転士が確認操作をするとベルが停止、停車後にチャイムを停止します。
今回は鉄道グッズ工作の一環として、パナソニックの住宅用設備を使用してATS警報鳴動装置を製作してみました。

ハードウェア

元ネタは三才ブックスの電子工作超ガイド(2017年発売)という本です。
この本では、チャイムはパナソニックの EB147WK、ベルは自転車のベルを使用していましたが、チャイムは生産終了、ベルは工作が面倒そうなので部品選定から行うことにしました。

チャイム

チャイムは後継品の EB177WP を使用しました。内部は本物のATSチャイムと同様に、鉄琴をソレノイドで叩く構造になっているようです。
本物のチャイムの音色を解析すると、周期は 約2Hz, 音程は高音が 約764Hz、低音が 約603Hz となっているようです。



チャイムの鳴動タイマは、元ネタと同様に NE555(の互換品)で生成することにしました。

こちらのページで計算すると、Ra = 3.3kΩ、Rb = 33kΩ、C = 10uF で所望の周期が得られるようです。
Rbは微調整できるように、27kΩ+10kΩの半固定抵抗とし、10uFは電源電圧で周期が変動しないようにタンタルコンデンサにしました。

ソレノイドは駆動時に 6Vで約2A流れます。ドライバには 2SK4017 を使用しました。
電源はNゲージと共通化できるように、12V入力とし、DCDCコンバータ(MP2307使用の安いやつ)で降圧します。
ON/OFFは、555のリセット端子で制御しています。

買ったときのままでは鉄琴の音色が高いので、ネオジウム磁石を貼り付けて周波数の調整をしています。
100円で2個入っている、16mmのネオジウム磁石を、高音側は 3つ、低音側は 2つ 貼り付けて周波数を合わせました。
なお、磁石だけではチャイムを鳴らしているうちに位置がずれるので、液体のりで固定しました。



ベル

ベルはパナソニックの丸ベル3形 EB03K を使用しました。
これも生産終了でしたので、中古品をヤフオクで入手しました。
駆動はDC3Vをかけるだけです。
電源はチャイムと同様に、DCDCコンバータから供給します。制御は MP2307 のEN端子で行いました。モジュールのプルアップ抵抗をプルダウンに移設して、EN端子からコネクタにジャンパを飛ばしました。
ベルの電流の戻り経路がチャイムのタイマ回路を通ると、タイマが誤動作してしまうようです。GNDを分離してコネクタ根元の一点接地としました。




DCCアクセサリ化

以前製作した、ポイントデコーダーとサウンドデコーダーの複合デバイスに本装置へ接続するコネクタを設けました。
プログラムは、MCP23017が接続されていないときに、A4,A5 をGPIOとして使うように変更しました
一度、A4, A5をI2CモードにしたあとGPIOとして使うときは、Wire.end() で開放してあげないと、ピンが入力で固定になってしまうっぽいです。内蔵 Pull-UpのON/OFFで動く範囲なら問題ありませんが、念のため(?)Nch FET (2N7000) で受けています。
検証用にDS basicでDCC制御用のプログラムを書きました
ゾーン1からスタート、ゾーン2でベルとチャイムの鳴動開始、ゾーン3でベルの鳴動停止と減速、ゾーン4でチャイムの鳴動停止と停車です。止まったあとはゾーン1に戻ってくるようにしました。
以下の動画のように動作します。




なお、DS Air2のバージョンは、R2n5 で確認しています。 R3.4b, R3.1b, R3.1 は (Scrach風は大丈夫なのですが) DS basic はうまく動作しないので要注意です。

感想

うるさいです!夜に工作をするのは憚られます (^^;)