T−TRAK の土台を1000円以下で自作する。
2024/3/1 7M4MON
<きっかけ>
T-TRAKという鉄道模型のレイアウト規格の公募展が城南島で毎年行われており、昨年、息子と友達の小鉄家族で見に行きました。
たくさんの作品が並んでいて、賞を取るようなハイレベルのものからアイディア勝負のものまで、大人も含め大いに楽しめました。
こういう工作は子供たちも好きそうなので、次の年はジオラマを作って応募することにしました。
調べてみると、純正の(?)T-TRAKの台(KATO 28-880)は4000円程度のようです。
諸々込みでその価格なら良心的だと思いますが、よろず設計が趣味なので自作することにしました。
<設計>
- T-TRAKの規格は
- 横幅 308mm以下
- 奥行 355mm以下
- 高さ 70〜100㎜の範囲で調整可能とする
です。
[天板サイズ]
横幅 308mm はカトーのユニトラックの S248+S62 から決まるものなので、許容範囲は 308mm (+0, -2) です。
この 308mm というのがクセモノで、世の中の合板のサイズは1820mmや910mmなどおよそ300mmの倍数なので、308mmを複数取ると長さが足りず、取り数が微妙になってしまいます。
そこで、側板は板の厚みと組み合わせて正面の 308mmを構成することにしました。つまり、主材料を厚み 9mmの合板とすれば、正面板の幅は 308-9-9 = 290mmとなります。
奥行きはストラクチャーの規模次第で短くてよいですし、側板は四面とも同寸法のものを使用したいので、正面板の幅 = 奥行き = 290mm になりました。
純正品は奥行き 355mm なので、2割ほど天板の面積は小さくなります。
[側板の高さ]
T-TRAKの規定では、高さ調整用に素手で調整できるアジャスターを取り付けるよう指示されています。
調整は下から六角ボルトをねじ込んで行い、固定は爪付きナットと蝶ナットでダブルナットを構成することにしました。
蝶ナットと六角ボルトを組み合わせたとき、ボルトの頭の先から蝶ナットの端面までは 12.5mm、干渉部は 8.5mmでした。
高さ調整の最小値は 70mm なので、爪付きナットの厚みを 0.5mm とすると、側板の最大高さは 70-9-9-0.5-12.5= 39mm となります。
側板を38mmとした場合、ボルトは 38+9+8.5+0.5= 56mm が最長となります。
ボルトを55mmとした場合、可動部が 55-8.5-9-0.5= 37mm あるので 70+37=107mm まで調整可能となります。
これは規定の調整範囲を満たしています。
実際に作ってみると、幅 308mm では工作精度によっては線路の飛び出し量が十分でない場合があるので、幅307mmの方が良さそうです。
この場合、奥行きも 1mm減って 289mmとなります。
600x900mmの合板で板取り図を作成すると、取り数3のいい感じの割り付けになりました。
(PDFファイル)
搬入時にほかのジオラマを見て気づいたのですが、高さを固定するための蝶ナットは不要のようです。
蝶ナットが不要ならば、台の高さはネジ頭 5mmを引いて 65mm まで許容でき、側板の高さは 65-9-9 = 47mm、ボルト長は 47+9 = 56mm までとなります。
55mmのボルトを使用した場合、高さは 70〜116mm まで調整可能となります。より入手性の良い 50mmのボルトを使用するなら 111mmまで調整可能です。
これは規定の調整範囲を満たしています。
それはさておき、蝶ナット不要の場合、最終的なコストは線路なしで 705円、線路ありで 1306円 となりました。
<製作>
ホームセンターで合板をカットしてもらいます。
近所のホムセンでは10カット無料ですが11カット必要なので1カット分(30円+税)を支払います。
小口をヤスリがけします。
爪付きナットの下穴を開けるための図面を作成し、下板に貼り付けてドリルで穴を開けます。
爪付きナットをハンマーで打ち込んだら板にボンドを塗って貼り合わせ、クランプで固定します。
完成
正面の木口が気になる場合は、ペンキで塗装しても良いでしょう。
ATS警報鳴動装置をジオラマに仕立てた例
<感想>
コストダウンをテーマに T-TRAK を設計&製作し、満足の行く結果が得られました。
天面は純正より2割ほど小さくなりましたが、その範囲でジオラマ作りを楽しむのもまた一興だと思います。
実際は上モノにそれなりのお金がかかるので、コストダウンの効果は限定的ですが…
ちなみに、原稿を仕上げるまで、ずーっと T-TRACK だと思ってました。